フレグランスのエキスパートが語る！
香りの祭典「サロン ド パルファン」の魅力

化粧品会社に約20年勤務してフレグランスを学ぶ。1995年に独立してフレグランスの輸入・販売ビジネスを開始し、現在に至る。2002年、フレグランスを扱う企業を誘致して「日本フレグランス協会」を創設。

化粧品については社内イチ詳しいと自負している。コスメのみならず、美容機器もフレグランスもビューティー関連品はすべて大好き。所有するフレグランスコレクションは100本以上。休日に1本1本磨いている時間が至福

お客さまの好みやご要望を伺いながら、香りのアイテムを幅広く提案。最近の香りの楽しみ方は、ルームアイテムを使ってのおうち時間の充実化。とくにキャンドルを灯しながらのナイトカフェ、セルフマッサージにハマり中。

メゾン系フレグランス（欧米ではニッチ・ラグジュリーと呼ぶ）の集積は、パリのプランタン百貨店が、パフュームリーと呼ばれる香水フロアを設けたのが始まり。日本では伊勢丹新宿店がいち早くこのトレンドを取り入れた頃に「サロン ド パルファン」がスタート。年を追うごとに、このイベントを通じてメゾン系ブランドは急速に成長しました。
この動向にならい、他の百貨店もメゾン系のブランドにスペースを割いて販売するように。「サロン ド パルファン」は未熟な日本のフレグランス市場を盛り上げ、日本において”香りのある日常”を広めたと言っても過言ではないでしょう。

化粧品バイヤーとして企画から運営まですべてのコンテンツに関わっていますが、毎年思いがけない香りとの出会いがあり、いちファンとしても年に1度の香りの祭典に参加できることを楽しみにしています。
「サロン ド パルファン」は伊勢丹における名物催事のひとつ。初回の頃にお客さまとして来店された方が、ブランドのクリエイターとして参加されるなどお客さまとともに成長してきたと実感しています。日本において香水や香りに関する認知もユーザーも拡大しており、今後のさらなる成長がとても楽しみです。

回を重ねるごとにお客さまの香りへの関心と期待度は高くなり、日頃より「サロン ド パルファン」を心待ちにしてくださっているお話を直接お聞きします。この日のためにスケジュールを調整してご来店してくださる方も多く、感謝の気持ちでいっぱい！そしてその期待にお応えするためにも余念がありません。

「会期が短すぎる！」と思うくらいの商品数が一堂に集まり、そこに各ブランドの世界観が表現されているのがとても魅力的です。10回目という記念すべき今年は、香りの上級者からビギナーまで、すべての方が香りにまつわるさまざまな体験を通じて、香りをより深くより多面的に触れることで香りへの理解を深められる場になっています。
今年は2019年以来、本館6階の催物場に場を移すことで、その規模を活かした圧倒的な品揃えを実現しています。とくに伊勢丹で普段取り扱いのないメゾンフレグランスを含めた豊富なラインナップはもちろん、ホームアイテムやバスボディまでアイテムの幅を広げることで、世代性別問わず訪れるすべての方に香りを通じて豊かな日常をご提案します。

日本フレグランス協会が2017・18年に「サロン ド パルファン」とコラボし、日本フレグランス大賞の受賞作品を、伊勢丹が設けた「サロン ド パルファン賞」とともにご紹介しました。またフレグランス協会のコンサルティングスペースでカウンセリングを行い、人気を博したことも記憶に残っています。
＜パルファン・ロジーヌ パリ＞のフレグランスは、オーナーのマリー・エレーヌ・ロジョンさんが毎年のように来日し、お客さまに似合う香水を自ら選んであげていました。残念ながら彼女は2019年に急逝。あの姿がもう見られないのはとても残念です。

フレグランスだけのイベントにご来店いただけるのだろうか、という不安な気持ちが吹き飛ぶほど会場内は大混雑を迎えた2013年の第１回。朝からお問い合わせの電話が鳴りやまず、気がつけば夕方になっていました。素敵な香りにつつまれた会場で、お客さまの楽しそうな笑顔を横目に見ながら対応に追われていたことが思いだされます。

「香りは、わたしに、刻まれる」です。このテーマは香りに込める想いと記憶を表現しています。香りを通じてふと記憶が蘇ったり、誰かを思い出したり。多くの人がそんな経験をしたことがあるのでは。「サロン ド パルファン」の会場で思いがけない香りと出会い、その香りがお一人おひとりにとって2022年の「今の自分」を記憶していただく機会になればうれしいです。

全国に数ある百貨店の中で、このような素敵で大規模なフレグランスのイベントを開催できるのは伊勢丹新宿店だけ。今後もずっと続けて、フレグランス愛好家を増やしていってほしいですね。香りは人間としての根源的なもの、人間の本質としてあるものということを、多くの日本人に伝えてほしいと願っています。

会場にはとてもたくさんのブランド、フレグランスが紹介されていますが、まずはご自分の興味のあるいくつかのブランドに絞って、説明を聞いたり香りを試してみてはいかがでしょうか。そのほうが後々、香りがより印象に残るのではないかと思います。
毎年の開催でお客さまは新製品やスペシャル品、そしてセミナーなどをとても楽しんでおられるので、その姿を拝見するのが楽しいです。日本にもこんなにフレグランスを愛する人たちがいるのだと喜ばしい気持ちになります。

サロン ド パルファンの製品、イベントなどの情報は特設サイトに随時アップされますので、こまめに情報収集を！気になる香りは、会期前に店頭で試せる場合もありますので、気軽にお声がけください。また、特定ブランドをクローズアップして紹介するイベントも開催予定なので、ぜひ足を止めてみてはいかがでしょうか。新たな発見があるかもしれません。

日本でフレグランスが広まりだした頃は、フローラルとシトラスが圧倒的に人気でした。清潔感のある爽やかな香りが男女ともに好まれていたようです。しばらく前からはウッディ、スパイシー、バニラなどの香りのファンも増えています。

時間を変えて複数回、いろいろな香りを試しています。香りは時間の経過に伴って変化するもの。肌につけた時に感じる印象、そして時間が経つにつれて変化していく香りの印象は変わっていくので、ファーストインスピレーションは大事にしながらもじっくり変化を楽しみながら選びます。普段は選ばないような香りが、変化によって自分のマインドにマッチしてくることも多々あるので、香りは本当に奥が深いです

わたしにとって香りとは、時には気分を高めてくれて、またある時にはそっと寄り添ってくれるようなとても身近な存在。これからも大切にしていきたいですね。