2024.3.1
コラム
井浦 新さんと妻のあいさんが2022年に立ち上げたコスメブランド〈Kruhi/クルヒ〉。家族みんなでシェアできて、心地よく使えるものをと開発したプロダクトは、成分だけでなく、流れる排水やボトルまですべてにおいて循環を考えたものづくりから生まれました。「来る日(明日・未来)が必ず良くなるように」。そんな思いで名付けた〈Kruhi/クルヒ〉のプロダクトへのこだわりやお二人の大切にしていること、思い描く未来の姿についてお話を伺いました。
―改めて、〈Kruhi〉を立ち上げたきっかけについて教えてください。
井浦 新さん(以下、新さん) 〈Kruhi〉は、井浦家の暮らしの中から生まれました。それぞれに頭皮や髪の悩みがあって、以前は僕も妻も子どもたちも自分の悩みに合わせた違うシャンプーを使っていました。それでもなかなか自分たちの理想とするものに出会えず、いろいろな製品を試して最終的に行き着いたのが石けんシャンプーでした。
井浦 あいさん(以下、あいさん) ただ、人にも環境にも優しい石けんシャンプーが良いとはわかっていても、きしみが強すぎたり、仕上がりに満足できなかったりと、心地よく使える製品にはなかなか出会えなくて。
新さん 石けんシャンプーは、毎日使い続けるには個性が豊かすぎるところもあるんですよね。それでも僕たちの生活には、環境への負荷を軽減しながら髪の健康も叶えられるような、さらに自分たちが毎日使い続けたいと思えるような石けんシャンプーはあるはず。満足できる製品がないのであれば自分たちが始めてみようと、2人で立ち上げたのが〈Kruhi〉です。
あいさん 石けんシャンプーにこだわった理由は、髪が健康になる実感と、暮らしから出る排水は環境に負荷が少ないものを選びたいという思いからです。私たちは都会に暮らしていて、車にも乗るし、買い物もして、電気も使って消費活動をしている分、家庭排水ぐらいはと数年前から生分解性の高いものを選ぶようにしています。台所、風呂用、洗濯周りで使う洗剤は、満足できるものが見つかりました。シャンプーに関しては泡立ちの良さや使い心地の良さを無視できないことから、石油由来成分が入ったものがほとんどなのが現状です。髪の悩みも防ぎにくいし、環境にももっと配慮したい。日に日にストレスに感じるようになって。だからこそ、家庭で手軽に取り入れられ、尚かつ心地よく使えるシャンプー&トリートメントが必要だと思いました。
―環境へ配慮する意味でも、石けんシャンプーが理想だったのですね。お二人はもともと環境問題について関心がおありでしたか?
あいさん そういう気持ちはありながら生活していましたが、振り切って超ナチュラルな生活をしているかというとそうではなくて、取り入れられることをできる範囲でやっているという感じでした。コンポストを使ってゴミを土にしたり、洗剤など使うものや買うものをしっかりと考えて選んだり、無駄に電気を使わないとか、着なくなった服や靴を譲るとか、寄付をするとか。生活の中でできることをしています。
新さん 僕は環境という前に、自然が好きだったことが大きいと思います。大自然のなかに飛び込んで、自分自身のもつ野生の感覚を呼び覚まして、それが生きる力にもなっています。それなのに、最近は山や海へ行くとごみがたくさん捨てられている。そんな現実がありますよね。最近では、子どもたちも学校で環境問題の取り組みなどについて知る機会も多いようで、家族との会話でもこういった話題が増えました。なかなか大きなアクションはできないけれど、海や山ではごみを持ち帰るなど身近でできる小さなことを積み重ねていけたらと思っています。
―こだわりが詰まった〈Kruhi〉のプロダクト。特にこだわった点はどんなところですか?
あいさん 石けんシャンプーの「最高峰」を目指しました。石けんシャンプーは人にも環境にも優しいのですが、特有のきしみが難点。そこに挑戦したというところが大きなこだわりのひとつです。通常のシャンプーには水が使われることが多いのですが、〈Kruhi〉ではパッションフルーツから抽出した蒸留水を使っています。蒸留水は不純物が含まれていないことから髪や肌への浸透を良くするメリットがあるので、きしみが極限まで軽減できました。
新さん 石けんシャンプーを作るにあたって石けんの起源を調べていると、縄文時代まで遡ります。始まりは1万年以上前からで、人間が活用してきた灰と油でできた固形物。人間との関わりが深い石けんに立ち返りながらも、今まで石けんシャンプーという分野にはなかったような新しい石けんシャンプーへの挑戦で。原点回帰でもありながら革新的なプロダクトができたと思います。
石けんシャンプーのきしみを我慢して使うのではなく、パッションフルーツ蒸留水できしみを軽減させ、さらにスクワランオイルなどの上質なオイルを配合することで保湿が可能に。またトリートメントにはオタネニンジンなども入っていて、毎日使うことで頭皮や髪に潤いをもたらし良い土壌に整えます。髪質が改善されると共にその人本来の健康な頭皮や髪が取り戻せるよう導いてくれるシャンプーとトリートメントに仕上がりました。
―シャンプー&トリートメントに続いて発売された「ALWAYS NEW BALM」もこだわりが詰まった商品だとか。
あいさん 「ALWAYS NEW BALM」は髪にも顔にも体のどこにでも使えて、本当に重宝しています。寝る前のスキンケアの最後に肌に必ずつけています。香りに包まれてとっても心地が良いんです。バームももちろん植物由来成分のみ。ミツロウとオイル、植物エキスのとてもシンプルな原料で作っています。蒸留水が肌に浸透して、使うと肌が柔らくなり、しっとりと潤いが翌朝まで続く強く味方になっています。
新さん いわゆるバームと大きく違うのは製法です。一般的なバームは、オイルを温めてミツロウと混ぜ、香りを加えて容器に流し込む。それが冷めて固まったのがバームです。「ALWAYS NEW BALM」は、オイルを温めて植物エキスを加えた段階で一度しっかり撹拌するんです。オイルとミツロウは温めたら溶けてひとつになるけれど、植物エキスは水分なのでなかなか混ざりません。工場の高い技術の独自製法でしかかなえられない、植物エキスとオイル、ミツロウがしっかりと合わさって完成したバームです。ふわっとしたホイップのようなテクスチャーも特徴です。
あいさん ふたを開けると2色なのもかわいい。実は、1缶1缶、2種のバームをジェラートのように手作業で充填しているんですよ。
新さん まさか人の手でひとつ一つ詰めているなんて想像できないですよね。シャンプー&トリートメントもなのですが、バームも本当に手間ひまかけて作られています。僕たちが使うならこういうものを手にしたいと思えるものを形にしています。
Kruhiは製品に着色料を使用していません。バームの2つの色は着色していない植物そのものの色です。ふたを開けて光が当たるたび、少しずつですがバームの色はだんだんと退色していきます。本来そういうものなのですが、色が変わらないものが多いですね。生きている植物が枯れていくのと同じように、自然な植物の色だからこそ。もちろん成分や品質は何も変わりません。
あいさん 合成着色料などを使って色を安定させることは簡単だけれど、着色料は肌には必要ないよねというのが私たちの結論。必要ないものを削ぎ落としてシンプルにします。化粧品の原点回帰だと思っています。
使うたびに良さを実感していて「作ってよかったね」ってよく2人でも子どもたちとも話すんです。我が家は洗面所用、玄関用があり、私はバッグにいつも入れていますが、子どもたちも気に入って持ち歩いています。出かける時には「バーム持った?」なんて声をかけるほどです。
新さん 〈Kruhi〉が誕生してから1年、家族の間でもそういう会話が増えたのはすごく良いなと思っています。
―成分のこだわりに加えて、ボトルもリサイクルできるアルミの採用、過剰包装をしないという点も、環境への配慮やものづくりへの思いが伝わります。
新さん 成分や原料だけでなく、ボトルや包装でも環境への配慮や循環を意識しています。ボトルにはリサイクル効率に優れたアルミボトルを採用してできる限りプラスチックを使わず、過剰包装もしないようにしています。環境問題がまったなしという状況の中で、従来の価値観はそろそろアップデートしても良いんじゃないかなという考えも僕たちにはあって。
アルミのボトルは頑丈でいいけれど、外箱がないのでぶつかるとどうしても凹みは生まれる。けれど凹んでいるからB品だとかクオリティが下がるわけではありません。そういったことも許容される優しい世の中になっていったらいいなと。従来の当たり前にとらわれず、新しいスタンダードを作っていけたらと思っています。
―〈Kruhi〉を使うことで、商品のその先にある環境について考えるきっかけにもなるといいですよね。
新さん そうですね。その入り口になれたら嬉しいです。〈Kruhi〉をきっかけに公式サイトなどで成分や環境について考えたり知ったりすることで、今より少し地球や健康に良いことをやってみようかなと思ってもらえたら良いですね。
あいさん 今の時代、環境に配慮するって考えるほど難しいことではないんですよね。一部の意識の高い方だけが声をあげて行動していた時代もありましたが、今は生活の一部として取り入れるのは当たり前になっている時代。すごくいい時代が始まったなと思ってアイデアの出し合いやテクノロジーの発展が様々なところで行われているのを、楽しみながら学ばせてもらっています。
人と環境への配慮を徹底的に追求したコスメブランド〈Kruhi〉。100%植物由来成分で手間暇をかけて作り上げたプロダクトは、第一弾として誕生した「Kruhiボタニカル石けんシャンプー」、「Kruhiボタニカルトリートメント」に続き、第2弾として「ALWAYS NEW BALM」も仲間入り。原料には規格外の果実なども使用し、またできる限りプラスチックを使わずリサイクル効率の良いアルミ素材の容器を採用するなど、循環するものづくりを目指している。
<Kruhi>ボタニカル石けんシャンプー キャンディフォレスト 400mL 4,651円
<Kruhi>ボタニカルトリートメント キャンディフォレスト 400mL 5,321円
<Kruhi>ポンプディスペンサー 長さ:17.5cm 150円
<Kruhi>Kruhi オールウェイズニューバーム 35g 4,950円
「Kruhiボタニカル石けんシャンプー」と「Kruhiボタニカルトリートメント」の「サステナブルコスメアワード2022」ゴールド賞受賞に続き、「ALWAYS NEW BALM」も「サステナブルコスメアワード2023」でゴールド賞を受賞。
―後編では、新さんが愛してやまないスイスのウェルネスブランド〈nahrin〉と〈Kruhi〉のコラボ商品「Kruhi climbing nahrin」シャンプー&トリートメントが生まれたきっかけや商品に込めた思い、ブランドの今後について伺います。
人物撮影/中川 隆志 撮影アシスタント/中村 奈々恵・齋藤 瞳 レタッチ/矢作 純子・川向 真未 編集・TEXT/高野 瞳
*価格はすべて税込です。
*品切れの際はご容赦ください。
*2024年3月1日現在の価格です。価格が改定となる場合がございます。
高野 瞳
フリーランス編集・ライター。出版社や編集プロダクションを経て、独立。現在はライフスタイルや食、美容、ヨガなど幅広い分野の雑誌やwebメディアで執筆中。趣味は、旅行と散歩と猫。
Instagram : @thitomi_1225
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