RIEHATA/リエハタ Baby Steps to Giant Strides
小さなリマインドを習慣化し、日々、自分を超えていく！【インタビュー】

ダンスを習い始めたのは小6の頃。中学卒業後に単身、LAに渡りました。もちろん、順風満帆なんてことはなく、自分のダンスレベルの低さを痛感しましたね。さらに、日本人の美徳である謙虚さが、海外では邪魔になりました。エンターテインメントの世界では、自己主張が強くなきゃいけない。そこで、自分をどう直すべきか、何をしたら成長できるか、常に自問自答して、毎日、日記に書くようにしたんです。まだ誰もやったことがないことを成し遂げるには、誰かに相談しても答えはくれない。自分で見つけるしかないと思ったので。数カ月経つと、「前に出られないのは、国民性だけじゃなく、実力がないから。自信があれば、自然と前に行けるはず」と気づいたんです。そこからは、ひたすら努力、努力、努力。バレエ、ジャズ、ブレイキング……世界レベルに必要なほとんどのジャンルのダンスを学びました。朝5時に起きて走り込み、ジムで自主練、昼夜はバレエレッスン、帰宅後に復習。ビデオで自撮りして、夜中まで見て反省点を書く。周りが心配するぐらいストイックな生活でしたね。

日記にはいつも、目標も書いていました。紙に書くと、達成するまで諦められなくなるから。当時は、日本で数カ月バイトして、お金が貯まったらアメリカで1〜3カ月レッスン、また日本に戻ってバイトという生活だったので、日本にいる間に、「先生に名前を覚えてもらう」、「3カ月以内に一番前で踊れるようになる」といった、次の渡米時に達成したい小さな目標を立てて、一つずつ叶えられるように頑張りました。

ターニングポイントは20歳の時。レディー・ガガ来日時のTV番組のバックダンサーのオーディションでした。国内のトップダンサーが20人ほど集められ、そこに呼ばれただけでも驚きでしたが、ガガの専属振付師さんが、真っ先に私を指さして「君は合格」と言ったんです。その翌日には本番。専属ダンサー達もいる中、ガガに「君は私の横」と言われ、当日に15cmはあるヒールを渡され、振り付けは全部チェンジ。内心“えー!?”と動揺しましたが、“余裕です”って顔でやりきりました。実は当時、この仕事を一生やれるのか悩んでいたんです。だけどこの日、日本人でも世界で渡り合えることを確信して、ずっとダンサーとしてやっていく自信が芽生えました。

今でも毎晩、反省を習慣にしています。忘れそうになることもあるので、モットーの言葉「させていただく」を壁に張り、常にリマインドしています。この言葉以外にも、家は張り紙だらけなんです(笑)。人間は目標を立てても3日で忘れるから、自分でリマインドし、反復することが大事。このことに気づかせてくれたのがダンスです。私の人生は、すべてダンスが教科書。何度も練習してこそ踊りが身に付くように、考え方を形成するのも、やはり反復が必要。私はダンスを教える指導者でもあるから、これからも反省を忘れず、生徒達の模範となる生き方をしたいと思っています。

私がEXILEの振り付けをするまで、彼らの所属事務所・LDHでは女性が振り付けをしたことがなかったんです。LDHに限らず、日本のどの男性グループもそうでした。性差を超えて振付師として認められるには、最高にかっこいい振り付けをして、誰にも文句を言われないようにするしかない。そう思って必死に努力をしてきました。まだまだいろんなところで性差の壁はあると思いますが、私の姿を通して、世の女性たちに“女という理由で諦める必要はない”と伝えていけたらいいですよね。

かっこいいダンスをするために欠かせないのが、日々のトレーニング。私は背も小さいし、男性に比べたら筋力も劣る。だけど先生として、男性より力強く、大きく踊らないといけない。長身の方たち相手に、大きく踊るお手本を見せるためにも、誰よりもジムに行き鍛えています。どんなに忙しくてもトレーニングは怠りません。

振付師として強く意識しているのは、「アーティストが表舞台に立っていない時間、ビハインド・ザ・シーンも、幸せであるように」ということ。BTSなど世界的に人気のアイドルは尋常じゃないスケジュールの中で稽古をしていて、本当に大変。だから稽古では、いつもしっかり褒めるようにしています。人って自分の成長を実感できると幸せを感じるし、苦労が苦労じゃなくなるから。この気持ちが、世界のトップアーティスト達に「また一緒に仕事がしたい」と思ってもらえる理由かもしれません。

11歳と9歳の息子といる時が、私にとって一番の息抜き。人前に立つ仕事なので、常に気を張っている部分がありますが、息子たちと笑ったり、ごはんを食べている時間は、ダンサーでも先生でもない“ただの人”に戻れます。弱音を吐くと子どもたちが「辛かったね」と励ましてくれたり、「頑張りすぎじゃない？」と気づかせてくれることも。同じ目線で寄り添ってくれる、まるで親友みたいな存在です。

“Do Everything in Love（いつも愛を持って行動せよ）”も、モットーにしている言葉のひとつ。強い思いで目標に向かっていると、「もしかしてこれは私のわがまま？」「ひとりよがりになってないかな」と悩むこともあります。だけど行動の根底に愛があれば、間違いはないはず。迷ったときの指針にして、夢に向かって突き進んでいます。

毎月、自分のミッションをいくつか決めて、スマホの待ち受け画面にしています。それを毎日繰り返し声に出すのが日課。例えば「悩んでいる人を助けたい」というミッションを決めると、この取材でも「質問にしっかり答える」という行動を超えて、「この記事を読んでくれる誰かの悩みを救えるかもしれない」というところまで考えられるようになる。この日課は、私が生きている目的をしっかり見つめ直すための作業です。

メイクでのこだわりは、リップラインをひと周りオーバーに描くことと、目頭のハイライト。メイクが出来上がった瞬間に、「これがRIEHATAだ！」とスイッチが入ります。それ以外は、強いこだわりはなく、新しいメイクをどんどん吸収して進化したい。スキンケアは、とにかく保湿重視。肌が乾燥していると、心まで枯れているみたいな気分になるんです。どんなに疲れていても、全身にボディクリームを塗ってから寝ます。でも結局、心が元気だと肌ってツヤツヤなんですよね。だから心が健康でいることも大事だと思っています。

じつは昔は学校の先生になりたかったんです。今後はダンスだけでなく、生き方も含めた先生になりたいと考えています。現代の子は、自分の気持ちが自分で分からない、自信がない、夢を持てない子がすごく多い。私の生徒の中には、ダンスを始めて自分に自信が持てるようになって、不登校から立ち直った子もいます。悩める子どもたちだけでなく、子育てに悩む方にも、RIEHATA流マインドを伝えていけたらと思っています。

構成／ISETAN’S BEAUTY